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小林 聰一郎

新たな時代を生きるロータリー


シェカール・メータRI会長の要請事項

今年度のシェカール・メータRI会長のテーマは、『SERVE TO CHANGE LIVES-奉仕しよう みんなの人生を豊かにするために』です。
「奉仕する時、だれかの人生だけでなく、自分の人生も豊かになります」とスピーチで語りましたが、「自分の人生も豊かになる」というところに奉仕とは何かの答があります。そしてその奉仕は、人々の人生を変えることができるような活動をしてほしいと要請されています。
 そのシェカール・スピーチに出てきたキーワードは、「GROW MORE DO MORE」。もっと成長しよう、もっと行動しよう。
「もっと成長」は、会員を増やし参加者基盤を拡げようというもので、その手法として「each one, bring one みんなが一人を入会させよう」。会員増強は組織が永続するためには必須ですが、本年度も退会防止に務め、若い会員と女性の入会促進に注力した取り組みを要請されました。「もっと行動しよう」は、「ロータリー奉仕デー」を各クラブが実施して、より大きなインパクトをもたらそうという要請です。
これらのRI要請を踏まえた具体的な地区の取組みとして、これまでの研修セミナーなどでもお話してきましたが、「1グループ1クラブの創立」「ロータリー奉仕デーの開催」をお願いしました。地区委員会が主管しての取り組みになりますので、よろしくご理解ご協力をお願いいたします。

時代変化の潮流のなかで

クラブ戦略計画の考え方を知っていただきたいと思い以前私が作ったパワーポイントに、砂漠を行くラクダの商隊写真に「そういつまでも北極星だけを頼りには進めない」という1コマがあります。経験や勘だけでは踏破が難しい長旅で、商隊というチームのリーダーとしてどうすれば無事に到達させるように導くことができるかという問いですが、クラブ中長期の戦略を検討する時の一つの視点として、クラブ会長として何が必要かをお聞きするものでした。
ワクチンが少しずつでも行き渡るようになり、オリンピックも今までにはない形ながら開催される7月から、シェカール・メータRI会長が先頭に立つ新年度が始まります。しかしここまで1年半余に及ぶコロナ禍を経験してきた私たちは、手放しで大声で祝うというよりも、マスクをしながら、控え目な小声で新年度を祝うような感じではないでしょうか。
これまでの大量生産大量消費という大声での様式から、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが加速していくこれからは、いわば小声でありながらもきめ細かな、次の時代を見据えた取り組みへと進化していく過程を、今の私たちは経験しているのだと思います。
今世界は、持続可能な開発目標を掲げ、気象変動や環境問題で、次世代に負担を押し付けない社会の実現に向けて取り組み、差別・抑圧・蔑視にみる人権問題などで、多様性を受け入れ、公平で開かれた社会に向けての模索を続けています。これまでのやり方が根底から問われ、変えるべきは変えながら新しい社会で新たな幸福を追求していく過程を今の私たちは歩んでいます。
ロータリーも同じです。ここしばらくの変化を助走として、今私たちは大きな変革に差し掛かっています。これまでへの郷愁は当然ありますが、そこに浸ってばかりもいられない大きな潮流の、新たな時代の中にいます。
全世界を席巻したコロナは、ここまで積み上げてきた経済や暮らしを、さらには平和に対する概念をも根底から揺さぶった感じですが、ここから私たちはどのような進路を目指せばよいのでしょうか。ウイズコロナを共に闘って、その中でロータリーをより力強く、より会員のため地域のためになるようにして、平和な世界にしていくのかという道を模索していかなければなりません。

ロータリーの中核的価値観をロータリアンの行動に変換しよう

そこで、こういうコロナ禍にあって、人との接触が制限されるのであれば、まず自分にできる基本的なこととして、ロータリアンとしての自分を高めることから始めたらどうでしょうか。その具体的な方法として、親睦、高潔性、多様性、奉仕、リーダーシップという中核的価値観を実践する主体者として、日々の仕事を通して、また家庭生活、社会生活の随所で、この価値観を自分の行動に変えて、ロータリーを自分のものにする努力をしましょう。
そしてその取り組みが、ロータリーの価値を高めていくことにつながります。高潔な人格者が集まりクラブを作り、そのクラブが「地域で世界でよいことをしている」と評価されれば、ロータリーブランドをより輝かせることになります。
 

ロータリー日本の100年の歩みの先に

 1920(大正9)年、米山梅吉、福島喜三次たちによって東京RCが創立し、2020年10月20日をもって日本におけるロータリーは創立100周年を迎えました。その記念としてロータリーの友委員会が発刊する『ロータリー日本100年史』が、8月にはクラブに届けられますので、ぜひお手に取ってお読みくだされば幸いです。
私は約8年間余この記念史の編纂作業を行ってきました。記念史編纂の骨格作りから日本における職業奉仕の扱い方などを検討しながら、「ロータリー日本100年の歩み」「100人のロータリアン」「ロータリーの本棚」などへと作業を進めてきました。この記念史は、ロータリーの友委員会から各クラブへの寄贈出版としての取り組みですが、希望するロータリアンにもお分けして、本棚に納めていただこうとも考えながらの編纂作業でした。
その記念史の最後部分に私はこのように書きました。

〈日本における100年を振り返って、私達日本のロータリアンは、何を過去に学ぶのだろう。遺し積み上げてきた事ごとを遺跡に建つオベリスクのような記念碑として、ただ眺めるだけのものにしてしまうのだろうか。
先人が道を拓き、私たちが歩んできた日本においてのロータリーの足跡は、一歩一歩の歩みからできている。「ロータリー日本100年の歩み」の足跡は、確固としたロータリーへの想いの一歩づつであり、それは鮮やかな足跡となって刻まれてきた。多くの苦悩も、奉仕の喜びも、時々にロータリアンが托した希望も、その一歩の足跡に刻まれているはずである。100年の歴史を築き上げてきた日本独自のロータリー文化は、奉仕の理念に基づいた「分かち合い、信じ合い、喜びを共にする」先人たちの情熱をかけた先駆的功績の賜物である。戦前から戦中の倶楽部解散の危機をはじめとする多くの困難をしなやかに強く生き抜いてきた、日本のロータリーのレジリエンスな歩みを高く評価したい。
まったく新しいロータリー世界が出現する予兆の中で、私たちはどのように身を処し、ロータリー活動を続けていくのかを問われている。希望と失望とを綯い交ぜにしつつこれからを過ごしていくのかもしれないが、職業奉仕を手掛かりとして100年の時間をかけて築き上げてきた日本のロータリーには、日本独自のロータリー文化がある。世界の中で均一化されない、それこそ多様性の最たる価値をもった日本の財産である。極東といわれる文化の坩堝の、その中で100年をかけて育み花開いてきた日本のロータリー文化を大切にしていくことが、今を生きる私たちに求められているように思う。先人たちがロータリーにかけてきた熱情を、ただのオベリスクにしてはならない。行く先を過たずに、日本のロータリー文化を継承、発展させる道を、日本のロータリアンの叡智を集めて拓いていこう。
そしてそこには、RIが「環境」を加えて6つの重点分野を7つにしたように、現在地球規模で進行している自然環境の改善のための「脱炭素社会」の創出など、これからの未来を明るくするための取り組みも当然含まれなければならない。人類生存をかけた喫緊の課題を、ロータリーのグローバルなVisionとすることを世界のロータリアンに呼び掛ける主導的役割を果たすなど、実効ある取り組みも必要になる。日本独自のロータリー文化であっても、それに加えて常に視座を高くして、新しい風を取り入れ、人々の豊かさに貢献する自分でなければならいだろうから。〉

日本におけるロータリーの基盤のうえに、地域や世界のニーズに応えられるロータリーでありたいと思います。
クラブ会長、幹事を始め、会員の皆さまと一緒に、本年度の第2620地区が「GROW MORE DO MORE」できますよう、ご理解ご協力をよろしくお願いいたします。
所属RC
甲府北ロータリークラブ
学歴
早稲田大学第一文学部史学科卒業
現職
(株)ビーイングコーポレーション代表取締役
団体役員等
1994年 山梨県立甲府第一高等学校PTA会長
1994年 山梨県高等学校PTA連合会副会長
1994年 山梨県社会教育委員
1998年 國學院大學若木育成会本部会長
1999年 國學院大學若木育成会本部顧問 ~現在
2007年 山梨県広告協会監事 ~現在
2007年 山梨交響楽団世話人 ~現在
ロータリー履歴
1991年6月 甲府北RC入会
1992年7月 甲府城北RCにチャーターメンバーとして移籍
1997~98年度 地区副幹事
1999年 地区25周年記念誌編集委員
2001~01年度 甲府城北RC会長
2002年7月 ロータリーの友委員会常任委員就任 ~2012年
2002~03、11~13、15~18年度 地区ロータリー財団副委員長
2011年7月 甲府北RCに移籍
2012年7月 ロータリーの友委員会
2012年7月 ロータリー日本100年史編纂委員会
2012年7月 および編纂室専任委員就任 ~現在
2015年9月 公益財団法人米山梅吉記念館評議員
2017~18年度 甲府北RC会長(創立50周年)
褒章
ロータリー財団:メジャードナー
ロータリー財団:マルチプルポールハリスフェロー
ロータリー財団:ベネファクター
ロータリー米山記念奨学会:米山功労者